この記事でわかること

  • 2026年4月施行・区分所有法改正の背景と概要
  • 主な変更点3項目(決議要件の変化)
  • マンション売却への具体的な影響(プラス・マイナス)
  • 築古マンションをいつ・どう売るかの判断ポイント
  • 管理が行き届いているマンションほど高く売れる理由

2026年4月1日、区分所有法(正式名称:建物の区分所有等に関する法律)が約23年ぶりに大きく改正されました(「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」令和7年成立・2026年4月1日施行)。マンションを売却しようと考えている方や管理組合の役員を務めている方にとって、この改正は「売却のタイミング」や「物件の資産価値」に直接影響してくる重要なテーマです。

本記事では、法律の難しい条文の話より「マンションを売る側・買う側にとって何が変わるのか」に焦点を当てて解説します。


なぜ今、区分所有法を改正するのか

老朽マンション問題は「待ったなし」の状況

国土交通省のデータによると、2023年時点で全国のマンションストック数は約685万戸。そのうち築40年超の物件はすでに約125万戸にのぼり、今後10〜20年でさらに急増することが見込まれています。

築40年を超えたマンションは、外壁の劣化・配管の老朽化・耐震性への不安など、さまざまな問題を抱えるケースが増えます。本来であれば建替えや大規模改修によって「再生」させるべきですが、現実にはなかなか進まない事情がありました。

改正前の「壁」とは何だったか

区分所有法では、マンションの建替えや大規模な修繕工事を行うには「区分所有者全体の一定割合以上の賛成」が必要です。改正前は建替え決議に区分所有者・議決権それぞれの5分の4以上の賛成が必要でした。

100戸のマンションであれば80人以上が賛成しなければなりません。現実には合意形成が非常に難しく、所在不明の区分所有者・高齢区分所有者の事情・賃貸オーナーの無関心などで計画が止まるケースが続出していました。


主な変更点3項目

変更点①:バリアフリー化工事の決議要件を引き下げ

改正前:区分所有者・議決権の各4分の3以上の賛成 改正後:区分所有者・議決権の各3分の2以上の賛成で可決

エレベーターの設置や段差解消工事など、バリアフリー化に関する大規模改修の決議要件が緩和されました。100戸のマンションなら、75人以上の賛成が必要だったところが67人以上でよくなりました。

バリアフリー化が実現しやすくなると、高齢者や障害者にとっての利便性が向上し、物件の資産価値が維持・向上しやすくなります。

変更点②:建替え等の決議要件を緩和

改正前:区分所有者・議決権の各5分の4以上の賛成 改正後:区分所有者・議決権の各4分の3以上の賛成で可決可能(区分所有法第62条)

5分の4(80%)から4分の3(75%)への緩和は、現実の合意形成では大きな意味を持ちます。長年「建替えの話は出ているが決議が取れない」という状態で膠着していたマンションが、再生計画を進めやすくなります。

変更点③:所在不明区分所有者への対応強化

改正後:裁判所の決定により、所在不明・連絡不能な区分所有者を建替え決議等の議決権計算から除外可能

これは実務上、非常に重要な変更です。「所在不明のオーナーが10戸あるせいで建替え決議が進まない」という状況が解消に向かいます。


マンション売却への影響

プラス面:老朽マンションの「出口」が見えやすくなる

今回の改正で最も大きなプラスは、築古マンションに「再生の可能性」が生まれたことです。

築40〜50年のマンションを売りに出すと「将来が不透明」という理由で買主がためらうケースが多くありました。改正後は、管理組合が再生計画を立てやすくなることで、売却時に「将来の方針」を買主に提示できるようになります。これにより買主の心理的ハードルが下がり、価格交渉でも有利に動く可能性があります。

マイナス面:建替え決議が進むと「早期売却」が必要になる場合も

建替え決議が成立すると、反対した区分所有者も最終的には建物から退去しなければならない場合があります。「自分は売らずに住み続けたい」と考えていた区分所有者でも選択の余地がなくなるケースがあるため、管理組合の動向を早めに把握することが重要です。


築古マンションの売却判断ポイント

「今すぐ売る」か「計画が動いてから売る」か

今すぐ売るべきケース:

  • 管理組合が機能不全で将来計画の見通しが立たない
  • 修繕積立金が不足しており、今後の徴収額増加が見込まれる
  • 建替え決議の議論が始まりつつある

再生計画を待ってから売るケース:

  • 管理組合が積極的に再生計画を推進している
  • バリアフリー化工事の計画が具体的になりつつある
  • 大規模修繕が完了したばかり

再生計画の「完成」を待つ必要はなく、「計画が動き出した段階」が売却のベストタイミングになるケースが多いです。

売却前に確認すべき管理状況チェックリスト

  • 直近の管理組合総会の議事録を入手できるか
  • 長期修繕計画書が最新版に更新されているか
  • 修繕積立金の残高と充足率を把握しているか
  • 大規模修繕の実施歴を確認できるか

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区分所有法の2026年改正は、老朽マンションの「身動きが取れない状況」を解消するための重要な制度変更です。売却を検討中の方にとっては、「建替え計画が本格化する前に売る」か「管理組合の再生計画を材料に売る」かという新しい判断軸が加わりました。

まず現在の物件の市場価値を正確に把握するために、査定から始めましょう。

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この記事の3点まとめ

  • 2026年4月施行の区分所有法改正で老朽マンションの再生が進みやすくなった:建替え決議要件緩和(区分所有法第62条:5分の4以上→4分の3以上)、バリアフリー化工事の特別決議要件引き下げ(4分の3以上→3分の2以上)、所在不明区分所有者の議決権除外制度の整備により、長年停滞していた再生計画が動き出しやすくなった。
  • 売却チャンスは「計画が動き出した段階」:建替え・再生計画が本格化する前が売却のベストタイミング。決議成立後は選択の余地が狭まる可能性があり、管理組合の動向を定期的に把握した上で早めに売却判断をすることが重要。
  • 管理が行き届いているマンションほど高く売れる:修繕積立金の充足率、大規模修繕の実績、管理組合の機能性が査定価格に直結する。売却活動前に管理状況を整理し、買主への説明材料を準備しておくことで価格交渉を有利に進められる。